「アチー・・・」


夏休みの中、1日だけ貰った部活の休み。もうそれはそれは暇で暇で。おまけに家のクーラー壊れるし(このポンコツ!)ってな感じにやることないし、
家に居ても暑いだけだし、近くのコンビニにトボトボ歩いて行くことにした。自転車もぶっ壊れてんだよ。チクショウ。
ポケットの中には小銭が数枚ぶつかり合って音を立てていた。手を突っ込んで触った感じでみるところ、100円が2枚、10円が8枚程度入っている。
ハーゲンくらいの高いアイスなら何とか買えそうだ。でも、ハーゲンやめれば安いアイス2つは帰るんだけどね。

私の家から一番近いコンビニは住宅街を少し先に行ったところで、駅からは少し遠い、かな。
でもお菓子系の品揃えが良いのがわざわざソコに行く理由でもある。学校からの帰りもよく寄る。まあMTの日だけだけどね。

機械的な音を立て、コンビニのドアは横にスライドした。(まあ当たり前だとしても少し感動するんですよ、暑くてネジが外れたから)
外と中との境は、中からの冷機を十分に浴びれるナイススポットだ。ナイスレフトでもクソレフトでもない。
コンビニの中に入るとまず雑誌コーナーに行く。コンビニで十分体を冷やすにはココのコーナーが一番。
雑誌コーナーには王道な週刊誌から月刊誌、田島の好きそうな本達と、新文庫が目に入った。
私は週刊誌を手に取り最初のカラーページをとばして、いつも通りトップのワンピを読み始めた。毎回の事ながらおだっちの書き込みっぷりに惚れ惚れする。

暫くして、丁度ナルトの扉絵に差し掛かった時、コンビニのドアが機械的な音を立てた。
足音は雑誌コーナーに向かってくる。きっと私と同じ属性の人だ。(つまり暇人)
そいつは私の隣で立ち止まり本を見ている。人間としてその人の顔が気になるのは自然の原理。私は少し無駄な勇気を出して隣の人を見た。



「クソレじゃん」
「ゲェ、
「なんか失礼だな・・・」



隣に立っていたのはなんとまあビックラこきますよ、水谷文貴くんじゃあ、ありませんか。ほんとこいつキレーな顔してますな。あームカつく。



「部活無いと暇だよね」
「家に居ると親が勉強しろってうるせーしな」
「ウチはクーラー壊れたから」
「不運だな、お前ホントに」
「クソレフトに言われたくない、よ」
「クソレ言うな」



何気ない会話が終わると、何となく気まずい雰囲気に。わかるよね?!この気まずい感じが!
私はそれに耐えられなくなって、と言うか水谷と居るのが微妙に気恥ずかしくなったというか、とか何とかで仕方なく本を閉じアイスコーナーに行くことに。
まあ体冷えたから良いんですけどね。あーあ、まだナルト読んでないのにさ。
適当なアイス(ハーゲン)を手に取ると、レジに向かった。今2つも買ったら確実に1つは水谷のものになってしまうからな。
私はそういうところだけ頭が回るんだこれ。(バカだけど)
あ、でもハーゲンも食べられるかも。水谷欲張りだからなー。よし!死守しなければ。
レジの人は20代入ったばかりの男性だった。顎鬚を蓄えていて、つり目で、水谷みたいなソース顔とは反対の顔。(つまり醤油)
20代なのにコンビニでレジって、人生の路頭に迷ってないか?なんか水谷も将来こうなりそう。
もしくは破綻寸前の会社の平社員。とか?あ、なんか笑えて来たと同時にちょっと同情してきた。レジのお兄さんに。

ポケットからお金を出した。丁度280円あった。よっしゃ、予想通り。そのお金を青いトレーに出すと、何となく後ろからの視線が痛い気がした。
この空間に居るのはこのレジのお兄さんと、私と、水谷だけ。絶対水谷の視線だ。
私なんか見て何が楽しいのか。そのコーナーにあるエロ本のが10倍は楽しいんじゃないか?水谷(と田島)にとって。
でも、なんかドキドキしてしまう。べ、べつにこんな奴、好きとかそんなんじゃないから!


もう行くの?」
「あー、うん。行くとこないし、帰ろっかな?」
「じゃあ、どっか行こうぜ。泉とか田島とか誘って」
「あ、いいねそれ!阿部と花井も誘う!」



水谷と一緒にコンビニを出た。どこに行こうか思考を巡らせながら、自然と手はハーゲンを裸にしていく。
そのゴミをゴミ箱にポイっと捨てつつ最初の1口目を味わう。なんて幸せな時間だ。
んー、うまい!



「なー、1口頂戴」
「やーだー。高いもん」
「ケチんぼ」
「ケチで結構」

































「なあ、1口頂戴?」


          (あ、名前)(いただき!)(ちょっと何勝手に食べてんのー!文貴の馬鹿ー!)(あ、名前)























まだ、恋に発展したりはしないのです。















070731 初水谷。水谷に上目使いされたら鼻血噴いて倒れる自信がある。