|
薄紅色のペンを紙に滑らせた。色が少しかすれてそろそろインクが切れそうだった。それくらい何度も何度も書いた。1日に10回も書いた日もあった。書き足りなくて、有り余った思いをぶつけるようにずっとこのペンに想いをこめて。机の引き出しを開けてみれば、溢れんばかりの紙ヒコーキで埋め尽くされていた。こんな風にしか愛を吐き出すことを知らない羊を誰かが助けてくれるんだろうか?受け止めるものがない、悪く言えば垂れ流しの愛、は何時までたっても届かない。 部屋の窓を開けば孝介の部屋が見える。毎日開いてる窓。そこで夜な夜な話をするのが昔から大好きだった。最近はあまりしなくなったけれど、窓だけは開いている。それを見るたびに引き出しに手をかけて全部の紙飛行機を、ソノ部屋に向かって投げてみたい衝動に駆られる。でも、ダメだ。今の関係を崩しちゃいけないんだってどこかで失敗したくないって思ってる自分が強くなっていって、結局そこで諦めてしまう。 知ってる。伝えるのに勇気がいることも、伝えるだけの勇気が私にないのも、自分の心の中で、一線すら越えられない自分がいるのも。 「!」 「ひゃあっ!!」 振り向かなくても解る、孝介だ。どうやら勝手に人の部屋に入って来たらしい。これでも一応うら若き乙女の部屋なんだから遠慮とかさ、しかも今夜なのに。お母さん普通に部屋通していいの?いくら幼馴染だとしてもそれはちょっと不順で不潔だと思うよ。 「孝介くーん。ここ一応女の子の部屋なんだけど」 「戸籍上女だろ」 「ヒドッヒドスだよ!この鬼畜!」 人の部屋に勝手に入ってきてそれはないんじゃないか?なんて思って何気なく手を見た。そこには「好き」とだけ書かれた紙があって、私は見られないようにして紙飛行機に折った。(ちょぴっとあせったさ) 孝介は何か探すようにがさがさと机をあさっている。って、ソノ引き出しはだめぇぇえええぇぇええ!中にはいっぱい紙飛行機が入ってるのに、 「ダメッ!そこは開けないで!!」 「あ」 ガラッ。時既に遅しとはこういうことを言うんだね。 孝介は中に入っている大量の紙飛行機に顔をしかめる。その中の一つを手にとって楽しそうに飛ばし始めた。あ、良かった広げない、みたい。ん?孝介くん?何してるの?そう。紙飛行機の中に何かか言ってあったから広げて・・・ってちょ、待って待って待って! 「キャ――――ッ!!!」 「っと」 「返して返して!」 しつこく纏わり付く私を避けながら孝介は紙飛行機を広げた。 紙 ヒ コ ー キ な 恋 (「好きです」)(これ、誰にやんの?)(え、と) 「誰?」 孝介は私の腕をがっしり掴んできた。顔、近い。 「こ、すけ、に」 顔が熱くなっていく。自分で迫ってきたくせに恥ずかしかったのか、孝介は後ろへ飛び退いた。私も十分恥ずかしかったんだ、よ。 070816 ベタなお話しで泉初夢。ヒロイン可愛い・・・っ個人的に紙ヒコーキ好きです。 |