あんた漫画の中から出てきたんじゃない?なーんて良く言われることで、酷い時には今めちゃくちゃ鳥肌たった。って言われることもある。それぐらい私はロマンチストなんだって。自分ではそんな自覚ないし、別段少女マンガが好きなわけでもない。でも時々どうしようもなく焦がれることはある。原因は唯一つ、私の前の席の田島だ。田島は何時も元気で、皆に人気があって、なんだか時々満面の笑みで「ーー!」なんていって駆け寄ってくる。私だけ特別って訳でもないけれど、私にとってはその笑顔が特別なのだ。だから、その笑顔で駆け寄られるとどうしようもない気持ちになる。そしてその気持ちを友人に聞いてもらうと、さっきみたいな返事が返ってきたりする。誰にもこの気持ちは到底理解できないのかなぁ。

!なあ理科の宿題見して!」
「え?あ、別にいいよ」

 授業が始まる1分前に、田島が、ばっと振り返り手を合わせた。そこまでされて貸さないのも何となく悪い気がして、そう言えば理科の宿題やってたかなーなんて、少しヤバげな事を考えながらノートをパラパラと確認した。とりあえずやってはあるみたいだ。でも何か適当さが出てて怪しい。

「少し間違ってるかも。」
「別にダイジョーブ!ありがとな!」

 ノートを受け取ると、書くぞ!と意気込んでノートにペンを滑らせ始めた。あのノートは幸せだな・・だって田島にあんなにも触れられてるんだし、あ、あれ私のだ。ぎゃー!私って幸せかも。あのノート返ってきたら永久保存だな。

 あと30秒で授業が始まる。その30秒間で、もし、もしだよ?田島がノートを書き終わって、振り返って、「あんがとな!スゲー助かった」って言ってくれたら、「すき」って言ってみようかな、なんて思ってしまった。あ、こんなところが乙女チックで、ロマンチストで、鳥肌なのか。なんか聞いてる側の気持ちが少し分かった。どうしよう、結構きついな。友達が最近冷たいのもこのせいか…
 周りのざわめきが遠くに聞こえてきて、唯聞こえるのは時計の針の音と、少しずつ速くなる鼓動。期待通りにいかないのがこの世のセオリーだから、もし、もしもだけれど振り返って欲しいなんて期待を持ってしまう。叶わないから持ってしまう期待なんてところもまた私らしい。
 あ、あと10秒。きっと田島は振り返らない。それで授業が始まって、肩を落とすのは私。わー先が読める私って凄い。あんまり思ってないけどね。5秒、4、3、2
!あんがと!スゲー助かった!!」




                                1秒前の奇跡











「わ!どうした?!顔あけーぞ!」「た、田島のせいなんだからね!」























071223 スランプ抜けた後最初の作品になりました。うはー、酷い。がんばろう....あは。