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外から明るい声援が聞こえてきた。木枯しが吹く此の季節はきっと体育はサッカーだろう。 は手に持っていたシャーペンを机に転がした。溜息を吐きつつ鬱陶しい髪をかきあげた。控えめな青いイヤリングが、差し込む日差しに反射している。その青はどこか深く、どこか悲しく見えた。 窓の外に視線を移せばあれが見えるんだろうな。などと至極当然のことを思いつつ外へ視線を投げる。嫌でも目に入る彼の名前は阿部隆也なーんて名前だったような気がする、と言うことにしておこう。 彼とは昔からの腐れ縁で、つまり幼馴染で、マネジと部員で、家が隣同士で、生まれた病院が同じで、誕生日も同じで、それで、それで。気まずい仲で、私の片想いで、諦め切れなくて、好きだったのにフラれちゃって、あー情けない。そもそも私が阿部に恋しなければ良かったんだ。おかげで暫く阿部とは話してない。 阿部のことを阿部と言うようになったのは確か中学生の頃だった気がする。思春期に入りたてで、隆也と呼ぶのが恥ずかしくて阿部って呼ぶようになった。でも阿部は私のことをずっとって呼んでたところからだけど、全然私のことなんて気にとめてなかったらしい。 あ、阿部が点数入れた。 ついつい目で追ってしまうあの背中。昔2ケツしたときにドキドキしながら腰に回した手で感じた阿部を思い出してほろりと涙が零れた。涙が頬を伝って広げられた教科書に落ちた。誰にも気がつれないような小さな嗚咽。それが幸運だったのか、不運だったのか良く分からないけれど、ただ悲しかった。阿部、阿部、あべ、アベ、タカヤ。隆也。 どうかお願い。外からで良いの。誰だか分からなくて良いの。見てるって事を知ってほしいの。 こっちを見て、お願いだから。 きれいに涙を流すことなんてできなくて、だんだん嗚咽は酷くなるし、きっと顔もグチャグチャだ。化粧しないたちでよかった。生憎ハンカチなんて出す余裕が無くて、唯、唯阿部の背中を見て泣いてた。 阿部、良いの、もう。普通に話して、元に戻りたい。なんて勇気が居る言葉は怖くて口に出せない。 空が綺麗だ。嗚咽のせいで上下する身体に合わせて耳の青いイヤリングがキラキラと光る。その青はどこか深く、どこか悲しかった。どこが深くて悲しいのかは、このイヤリングの送り主の所為だと少女は大泣きした。 |